糸見沙耶香の「無念無想」について語りたい
今回は、糸見沙耶香が使用する「無念無想」について語りたいと思います。
※これより先は「刀使ノ巫女」のネタバレを含むので観覧には注意が必要です。
まず 「無念無想」についてですが、総集編によると、迅移と呼ばれる加速術を持続的に発動できる技らしく、映像では、発動時に目が光り、動く際には虹色の残像が出ていました。
今回は、その「無念無想」について、気になったことをまとめてみました。
「無念無想」という技名の意味
まず、なぜ沙耶香が使う技名が「無念無想」になったのかを推測してみたいと思います。
この「無念無想」という言葉は「無念無想(むねんむそう)の意味 - goo国語辞書」によると、
- 仏語。一切の想念を離れること。無我の境地に入り、無心になること。
- しっかりした考えを持っていないこと。思慮のないこと。
という意味だそうなのですが、これは序盤の沙耶香を見事に表していたなと思いました。
というのも、アニメ公式サイトの沙耶香のプロフィールに
- 「周囲とのコミュニケーションを取るのは苦手」
と記載されており、本編の序盤では自分から話しかけている場面がないことから、「無念無想」という名には、人付き合いが苦手だからとにかく任務に没頭していたいという意味が込められていたのかもしれません。
また、第1話で集団においての荒魂討伐の際に使用していないことから推測するに、単独任務専用の技のような描写がされていましたが、そうゆう意味でも序盤の沙耶香を表していた技となっていました。
初披露された「無念無想」
沙耶香を象徴するかのような「無念無想」ですが、その技は、第3話で衛藤可奈美と十条姫和の追跡任務の際に初披露されました。
戦闘では、持続的に迅移を発動できる技に姫和を動揺し苦戦を強いられますが、それよりも速い迅移を発動し対応しました。
しかし、写シをはがしてもなお自分に斬りかかる姿に、姫和は驚きを隠せませんでした。
この時の姿は、実質「御刀の操り人形」のようになっており、無表情なの姿も相まってか、どことなく不気味さを感じさせられました。
ちなみに、途中で間に入った可奈美曰く、剣から何も伝わってこないらしく、「無念無想」の不気味さをさらに強調させていました。
迷いが生じた「無念無想」
次に「無念無想」を披露したのが第7話なのですが、使用する際に迷いが生じていました。
第7話で、高津雪那学長が沙耶香にノロを投与しようとするものの、 沙耶香がそれを拒み逃亡してしまいます。
その後、柳瀬舞衣と合流したものの、燕結芽に見つかってしまい戦闘することになってしまいます。
そして沙耶香は、結芽と戦闘において 「無念無想」を発動したものの、結芽に「無念無想」という名を聞かれた瞬間、可奈美に敗北した時の台詞と場面が脳裏によぎったせいなのか、迷いが生じて自分の意思で解除してしまいました。
このことから、完全に意識がなくなるというわけではなく、御刀に身を委ねて攻撃する技のようですが、雑念が入ると力を発揮できない技なのかもしれません。
新たな決意の「無念無想」
迷いが生じて使われなくなった「無念無想」でしたが、第12話にてようやく使用されることとなりました。
ここでの大きな違いは、集団戦の最中において、自分の意思で使うと公言したということです。
現に、皐月夜見との戦闘だけでなく、タギツヒメとの戦闘においても、使われている場面が見られており、これからは刀使しての道を、誰かのいいなりで一人で歩むのではなく、自分の意思で歩んでいくというの決意を表していたのかもしれません。
波瀾の中での「無念無想」
自分の意思で使われてた「無念無想」でしたが、後半の波瀾編では、使っている場面を確認することが出てきませんでした。
これは、今まで自分は強いと思っていた沙耶香自身も、可奈美の強さを目の当たりにする中で、自分の弱さを自覚し雑念を払うことができなくなり「無念無想」の状態を保つことができなくなったと考えられます。
そして何より、戦いの中で様々な価値観に触れていく中で「刀使として、一人の少女として、荒魂に向き合うためには『無念無想』ではいられない」という考えに至り、封印されたのではないのか私は考えています。
まとめ
「刀使ノ巫女」において「無念無想」は、沙耶香の心情を表す鏡でもあり、同時に沙耶香が刀使として成長を示すものの一つとなっていたのかもしれないと私は考えています。