「刀使ノ巫女」の皐月夜見について語りたい

 

  今回は、刀使ノ巫女に登場した親衛隊第三席の「皐月夜見」について語りたいと思います。

 

 ※これより先は「刀使ノ巫女」のネタバレを含むので観覧には注意が必要です。

 

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 刀使ノ巫女において「皐月夜見」は、無表情に白髪の入り混じった黒髪が相まって、親衛隊はおろか、他の刀使の中で最も異質な存在感を放っていました。

 

 今回は、そんな「皐月夜見」について気になったことをまとめてみました。

 

 

我が身を顧みない戦闘スタイル

 

 夜見の戦闘スタイルは、剣術よりも荒魂やノロを主軸としていますが、それは文字通り「身を削る戦術」でもありました。

 

 その一番の代表例が、彼女がよく使役している蝶形の荒魂なのですが、呼び出す際には自分の体を傷つける必要があり、下手をすれば死に至らしめる行為でもありました。

 

 また、肉体強化のために、第6話では、ノロを計9本分を体内に投与したり、第20話では、獅童真希と此花寿々花と渡り合うために写シなしで御刀を腹を刺して力を底上げするなど、自傷行為による「我が身を顧みない戦闘スタイル」「皐月夜見の異質さ」そのものを表していました。

 

鍔のない御刀

 

 夜見の異質さを象徴するものは、上記の戦闘スタイルもさることながら、「鍔のない御刀」も、その一つとなっていました。

 

 そもそも鍔とは、刀剣類の武器において、刃で自分の手を斬らないようにするための滑り止めの役割を果たしており、特に切れ味の鋭い日本刀には重要なものと言えます。

 

 しかし、夜見が使う御刀にはその鍔が付いておらず、「目的を果たすためなら自傷行為すら厭わない」という彼女の意思の表れではないかと私は考えています。

  

歪んだ忠義

 

 作中において、自分を全く顧みない夜見ですが、そんな彼女が忠義を尽くした相手は、折神紫でも、タギツヒメでもなく、自分のことをもっともぞんざいに扱っていた鎌府女学院学長の高津雪那でした。

 

 そもそも夜見は、高津学長にノロの被験体になれる資質があることを見出させるまでは、御刀に選ばれなかったほどの実力ない少女だったらしく、被験体となる道を選んだ彼女は、最終的に親衛隊第三席になれるほどの実力を身につけた刀使になれたということが、第22話で明かされました。

 

 そんな高津学長に夜見は絶対的な忠誠を誓っており、その歪んだ忠義は、第17話で、タギツヒメの近衛隊を集めるために、内里歩達にノロを使わざるを得ない重傷を負わせるほどでした。

 

異質な刀使の最後

 

 高津学長のために戦ってきた夜見ですが、その最後は、普通の終わり方ではありませんでした。

 

 第20話で真希と寿々花との戦いに敗れ、姿を消した彼女は、タギツヒメの見捨てられた高津学長を荒魂から守るために、異形の姿になった状態で駆けつけます。

 

 荒魂をすべて蹴散らした後に、相変わらず悪態を吐く高津学長の前に跪いた夜見は、

  

「ただいま戻りました。高津学長」

 

 と、かつて昔言った言葉をいつもの無表情のまま述べます。

  

 そんな彼女に高津学長は、

 

「お務めご苦労さまでした。夜見。」

 

 と昔と同じように言ったねぎらいの言葉をかけます。

 

 それを受け取った夜見は、作中では一度も見せたこともない素敵な笑顔を見せ、息を引き取りました。

  

 そして最後は、高津学長に弔われ、後に駆けつけた真希と寿々花とともに見送られる中、ノロに飲まれて、その生涯を閉じることとなりました。

 

 その姿は、異質な刀使であったと同時に、3人にとってとても大切な存在であった彼女を象徴するかのように描かれていたなと思いました。

 

まとめ

 

 作中において最も異質な存在であった夜見は、刀使になりたいが故にノロを受け入れ、人の道を外れた少女でもあり、同時に誰よりも恩義に報い、一途に忠義を尽くした少女でもありました。

 

 そんな彼女は、刀使の負の側面を描く上で重要な人物の一人だったのではないかと私は考えています。

 

  最後となりましたが、「皐月夜見」に関わってくれた全ての皆様、本当にありがとうございます。

 

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